EV/EBITDA倍率

 会社に特別損失や特別利益が発生していると、PERはそれによって大きく影響を受けてしまうことはご説明しましたが、それらの一時的な利益・損失に左右されない指標がEV/EBITDA倍率です。

 また現金等の余剰資金を多く保有する企業は、現金を有効活用してあまり保有せず積極的な借金や投資をしている企業に比べて収益性、効率性などの面で低い評価になりがちですが、企業を買収するという観点で考えれば、現金を多く保有する企業のほうが借金漬けの企業より魅力的です。

 EV/EBITDA倍率は、こういった企業の保有する現金や借金の影響も考慮している指標で、主に企業買収するときなどの目安として使われます。株式投資をするという観点でも、非常に有効な指標です。EV/EBITDA倍率は、EBITDAに対してEVが何倍あるかということを示します。

EV/EBITDA分析にはGMOクリック証券のShares(財務分析ツール)が便利です。(口座を開設すれば無料で使えます。口座開設の手続き方法はこちら。

 以下EVおよびEBITDAについて順に説明します。

EV

 EVとは企業価値のことで、会社の時価総額に有利子負債を加え、現預金を引いたものです。

 以下の式で表されます。

 EV = 時価総額 + 有利子負債 − 現預金

 これはその会社を買収するのにいくら必要かという目安になります。

 株を全部買い占めるのですからまず時価総額分だけ資金が必要ですし、買収した企業の借金は自分の借金となるのですからその分の資金も必要です。買収する会社の現預金も自分のものとなるのですから、これは買収額から引いているわけです。

時価総額は日経新聞社のホームページから、有利子負債は会社四季報から、現預金はEDINETを利用して閲覧できる有価証券報告書中のキャッシュフロー計算書から調べられます。

EBITDA

 EVITDAとは、利払い前・税引き前・減価償却前利益のことです。といってもピンとこないかと思いますが、ようするに本業でどれだけの現金収入を得ているかという指標になります。

 以下の式で表されます。

 EBITDA = 営業利益 + 減価償却費

EV/EBITDA倍率

 EV/EBITDA倍率は、EBITDA(1年間の現金収入)に対してEV(企業価値)が何倍あるかということですので、会社を買収した場合に何年間で元が取れるかという指標になります。

 この値が5倍であれば、買収した企業は毎年買収した金額の1/5だけ現金収入があり、5年も経てば元が取れるということになります。

将来的な収益力

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