将来的な収益力

 2章では会社の現在価値に注目し、PBRやPERが低ければ割安であるということを勉強してきました。3章では将来的な収益力について考えていきます。

PERの弱点

 会社の収益力をベースにした株価指標としてすでにPERについて学びましたが、このPERにはいくつかの欠点があります。以下列記します。

  1. 特別利益、特別損失の影響を大きく受ける
  2. 景気循環株の場合あまり役に立たない
  3. 借入金の額を考慮していない

 まず1の問題ですが、一時的な利益や損失も当期純利益に含まれますので、これによってPERが大きくぶれていることも考えられます。

 損益計算書には特別利益、特別損失として記載されていますので、ここをチェックして大きな特別利益/損失が発生していないかを調べる必要があります。(特別利益として、固定資産の売却等、特別損失として、災害による損失等があります。)

 2の問題は少しややこしいです。

 会社が利益を上げるためには、設備投資をして商品を作る準備をする必要があります。ところが業種によっては、この設備投資の額というものが非常に大きく、利益を大きく圧迫します。

 集中的に設備投資している時期は赤字となりますが、一度設備投資してしまえばしばらくはその設備を利用して商品を作れるため、しばらくは新規の設備投資をする必要がなく、今度は非常に儲かるようになります。

 設備投資している時は、株価が安いにもかかわらずPERが非常に大きく、設備投資していないで商品が売れまくっている時は株価が高いにもかかわらずPERが小さくなります。

 本来はPERが小さい企業に投資をすべきなのですが、こういった企業に対しては、PERが小さい時に投資をすると大きな痛手を負ってしまう可能性があるのです。

 こういった特徴を示す業種として、鉄鋼・ハイテク等があります。

 3の問題についてですが、PERは借入金の額を考慮に入れていないため、借入金の大きい企業がPERであらわすと割安になってしまうという問題があります。

 こういったPERの弱点を補う指標である、フリーキャッシュフロー、EV/EBITDA、バフェットの利益率等の概念についてまず解説していきます。

将来的な収益力

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